[The Japan Times記事翻訳] 日本ではソーシャルネットワークの戦いが加熱、フェースブックはサイドラインに

この記事は2010年9月15日 The Japan Timesコラムの翻訳です。月1回ぐらいの予定で、日本のWeb事情に関するニュースコラムを寄稿することになりました。主に運営している英語ブログAsiajin.comの読者層開拓が目的です。

The Japan Timesは100年以上の歴史を持つ日本で一番古い英字新聞です。日本のいろいろなニュースが英語で書かれているという意味では、Asiajinの大先輩にあたるメディアです。

主に日本在住の英語話者に読まれている新聞ということで、英語ではまだそれほど紹介されていなかったり、まとまっていなかったりする情報を紹介していこうと思います。


この7月、ソーシャルネットワーキングサイト「フェースブック」の全世界での実効ユーザーが5億人を越えた。米国のインターネット利用者の60%以上がサイトに登録し、その存在は地上のほとんどの国に及んでいる。フェースブックは世界を征服せんとしている、とあなたは思うかもしれない…あなたが英語を話すなら。

しかしながら、フェースブックが西側でそうしたようには市場に食い込めていない地域がある。中国、ロシア、韓国はそれぞれ人気のある自前のサービスを持っている。日本もまた、独自のソーシャルネットワーキングサイトを持ち、その上位3つ: グリー、ミクシィ、モバゲータウン、はフェースブックに目が無いかもしれないというぐらいの激しい競争の最中である。

ミクシィとグリーは共に、2004年の2月に始まった。日本人のなかのテクノロジー好きたちがOrkutを発見していた頃だ。ミクシィ、グリーとも、西側を席巻していた人気のソーシャルネットワークサービスの日本版となることを目指していた。

ミクシィはFriendsterに対する日本の返答だったと考えていい。ウェブのスタートアップ企業イーマーキュリーが一人の技術者を求職サイトファインドジョブからミクシィの開発に回した。誰もが驚いたように、サイトは急速に成長し、今では2,100万人のネットワークを誇っている。フェースブックと同様に、ミクシィは広告販売で利益を上げている – その主要な競争相手たちとは違って。

ミクシィは革新を続けている。先週、この会社は二つの新機能をアナウンスした: ミクシィチェックとミクシィチェックインだ。ミクシィチェックはフェースブックのシェア機能に似ている。チェックインの方はユーザーの物理的な位置にサイト上で情報を紐付けるフォースクエアに似ている。

5年間というもの、ミクシィはソーシャルネットワークの頂点の地位を楽しんできた。しかし先月、グリーは2125万人のユーザーを得たと発表した。これはグリーを日本のNo.1ソーシャルネットワークとするものである。

グリーの成功は日本市場の独特な状況を示している。上位3位の中でミクシィのみが、その名声をパソコン上で獲得した。しかし2007年7月に、携帯電話からのページビューがパソコンからのそれを上回っている、これはソーシャルネットワークの覇権がその戦場を移したということだ。グリーのモバイルプラットフォームでの成功はミクシィ逆転の理由の一つと見られる。初期の2004年にミクシィに対して敗北した後、多くはグリーが消え去ったと考えていた。そのカムバックが始まったのは2006年後半、サイトが人気のなかったパソコン版(まだ存在しているが、そのトラフィックはケータイ版の1%にすぎない)をほぼ放棄してからのことだ。グリーは日本2位の携帯電話会社KDDI auと組み、日本人が呼ぶところのカジュアルゲーム(casual game)、携帯電話向けのシンプルなゲーム群とアバターを持つモバイル版サイトを作った。

グリーCEOの田中良和氏は、グリーのケータイでの再生にあたって韓国のオンラインゲームポータル、ハンゲームを参考にしたと言っている。新生グリーは、釣りや仮想ペットといったゲームで新しいユーザーを獲得した。それらのすべては無料で遊ぶことができる(ただし、ゲーム上の自由度を広げるためのコンテンツを買うこともできる)。ゲーム戦略(とテレビの広告キャンペーン)はウェブユーザーと共振を起こし、グリーをトップに押し上げた。最近、サイトは外部提供のソーシャルゲームを加えることでカジュアルゲームの長い品揃えをさらに伸ばしている。

3位のソーシャルネットワーキングサイト・モバゲータウンもゲーム戦略を取っている。サイトを運営するディーエヌエーはまた、成功したオークションサイトビッダーズを運営し、サイトを2006年に立ち上げた。ディーエヌエーもまた、モバゲータウンの手本にハンゲームを見ている。遅い開設にも関わらず、モバゲータウンはそのユーザー数を2048万人に増やしてきた。成功の要因の一つとして、ユーザーが広告主のサイトを訪問することで仮想通貨を入手できるという仕組みがある。このソーシャルネットワーキングサービスは彼ら自身のカジュアルゲームと同時に外部企業のゲームも提供している。現時点で最も人気の高いゲーム「怪盗ロワイヤル」はフェースブックで人気の「マフィアウォーズ」と似ている。

「マフィアウォーズ」内のキャラクターに似て、日本のソーシャルネットワークサイトの競争はたいへん激しい。ディーエヌエーは日本最大のウェブサイト、ヤフー!ジャパンと共同でヤフー!モバゲーを開設し、ヤフー!ジャパンのユーザーにモバゲータウンのゲームを提供しようとしている。モバゲータウンとグリーはどちらも、トヨタやコカコーラをしのぐほど多量の資金をテレビ広告に注ぎ込んでいる。二つのサイトの運営企業はまた、職種によっては採用に200万円のボーナスを与えるという競争にも巻き込まれている。

これらの現金はどこから来るのか? ミクシィの主要な収入が広告である一方、グリーとモバゲータウンは仮想アイテムを直接ユーザーに販売している。そこでアイテムが売られる仕組みは、アップルのアップストアのそれとは異なる。iPhone上で何かを買うとき、顧客は別の勘定書を受け取る、つまりクレジットカードの請求上で買ったものを見るのだ。グリーやモバゲータウンの場合、多くの購入結果は利用者の電話の請求書に含められる – 本質的に、より気づきにくくなる。この手法は文字通りうまくいき(訳注: 翻訳すると文字通りでもないけど)、両社は広告料金を下げることでミクシィに圧力を掛けることができている。

しかし、先週のミクシィカンファレンスに登場したディーエヌエー社員は、モバゲータウンとミクシーのサービスは競合せず、何らかの協力が可能だと述べた。ディーエヌエーの南場智子社長はまた、ソニーや任天堂を「古顔だ」と言い、それらの企業のレベルを目指している。ディーエヌエーは、「仲間になるか、さもなくば敵だ」という手法も取っているようで、ビデオゲーム開発者達に「モバゲータウンで売りたければグリーで売るべきではない」と言ったとも報じられている。これが事実かは確認はされていないが。

カンファレンスにおいて、ミクシィはまた、中国の人人網、韓国のサイワールドとの提携を発表した。まず、三社は外部企業がアプリケーションの提供者(ミクシィが呼ぶところのSAP)となれるようにするプラットフォームの標準化を行い、三つのソーシャルネットワーキングサイトでそれらが動くようにする。この戦略は主にフェースブック対策である。この提携が彼らのサービスの合併や相互のネットワークの接続といった大きな変化に続くとは思いがたい。しかしこの手のことは国内のユーザーにはアピールするだろう。フェースブックの世界的浸透度は驚くべきものだが、(特にアジアでの)現地化は相対的に劣っている。もしアジアのソーシャルネットワーキングサイトが踏み込んで国際的にネットワークできるという印象を与えることができれば、ユーザーの興味を引くには十分だ。しかしながら、日本市場での飽和を見つつ、ミクシィ、ディーエヌエー、グリー各社は拡大を目指している。実際、ディーエヌエーとグリーはその利益を海外での成長に使うことができる。フェースブックが西側でおそらく独占を維持できるであろう同時期に、日本のソーシャルネットワーク達がオンラインの巨人に挑戦する最上の手段としてアジアに目を向けるという可能性はある。


自分の書いた英文(編集者・校正者にたいへん助けられていますが)を日本語に訳すのは思ったより難しいですね。

日本のソーシャルネットワークサービス、ユーザー数比較

アジアジン用下調べです。

Greeのユーザー数がMixiを抜き日本一になった件、英語で一番早くレポートしたのはAsiajinでした。たぶんだけど。ロイターより早かった。

グリー 2125万人 (2010年7月31日時点。1Q決算発表 [pdf])
ミクシー 2102万人 (2010年7月31日時点。1Q決算発表 [pdf])
モバゲータウン 2048万人 (7月。7月度月次報告 [pdf])
ツイッター 約500万人 (2010年2月 デジタルガレージ2Q決算発表で暗示)
フェースブック 133万人 (2010年8月13日時点。非公式。CheckFacebook.com による)

アジアジンでもセルカンさんが書いてますが、ソーシャルグラフをメインにおいているサービスか、カジュアルゲームプラットフォームかという意味で、Mixi/FacebookとGree/Mobage Townを同じ登録会員数で比べていいのか、という話はあります。後者ならハンゲームとかも入ってくるだろうし。また、登録数よりアクティブ数の方が実際には重要という話もあるかと。

ワールドカップの盛り上がりを可視化

ニューヨークタイムズによる、面白い可視化です。

ワールドカップで、各出場選手がFacebookでどれぐらい言及されたかを日ごとに集計し、そのバズ(buzz)の大きさを選手の写真の大きさで表した、という可視化の手法。

上のスライダーで日付を選ぶと、どの日にどの選手がフェースブックで名前を呼ばれたのかが一目瞭然です。

各選手の写真にマウスカーソルを置くと、より詳しい情報が表示されます。

ページの下では、国名順、姓の順、buzzの大きさ順で写真を並べ替えることもできます。

この可視化はかなり直感的でいいなと思いましたがどうですか。

via Mashable

台湾のウェブ事情

アジアジンの方では池田さん(@masaruikeda)に速攻で英語のまとめて書いていただいてたのですが、12月-1月の台湾滞在中に台湾のインターネットユーザーから聞いてきた台湾のウェブ事情を日本語でまとめていませんでした。

一ヶ月の滞在中、日本のウェブ事情についてプレゼンを行い、アジアジンミーティングという読者交流イベントを開催しました。また、台湾人の知人のつてで複数の台湾IT関係者とお話をする機会がありました。これは、その中で聞いたことをまとめたものです。

Taiwanese web people

ヤフー台湾が圧倒的な存在感

台湾では日本以上にヤフーが強く、一強支配状態だということです。ヤフー台湾(雅虎奇摩)がありとあらゆるサービスを取り揃えていて、ヤフーの中でユーザーの活動が完結してしまうような人も多いのだとか。

台湾のウェブのトラフィックのうち5割をヤフー一社が抑えている状態で、小さな個人のベンチャーサービスが成功する可能性が低い、少なくとも起業志向の人たちにはそういう意識がある、ということでした。目の出そうな新しいカテゴリーがでてきても、ヤフーもそれを提供してきてしまうということですね。

世界のSNS比較みたいな記事や地図では、台湾ではWretch(無名小站)が圧倒的に強い、ということになっていると思います(実際は違ってきている。後述)。このWretchも若いベンチャーだったのですが、結局はYahoo!台湾に買収され、そのあと勢いが止まっているそうです。

フェースブックの急激な台頭

そのWretchですが、2009年から今年にかけて大きな挑戦にさらされています。台湾ではFacebookが短期間で燎原の火のように普及を進め、その活発さでは既にWretchを凌駕しているとのこと。2009年の初めには誰もFacebookなど気にとめていなかったのに、2010年中にユーザー数でもWretchを抜き台湾一位のソーシャルネットワーキングサービスになることは確実だそうです。

http://www.insidefacebook.com/2010/04/12/does-taiwans-explosive-facebook-growth-mean-more-to-come-in-east-asia/

では、2009年後半に何があったのか。Happy Farm(开心农场) という「農場ゲーム」です。Facebookが元々持っているソーシャルな機能によってというよりも、農場ゲームを無料で遊べるということでユーザーがFacebookを始め、そのユーザーが自分の農場を育てる手段として多数の友達を誘ったために、雪崩のようにFacebookの登録が増えたということ。

この点、「Facebookでしか遊べないタイプのゲームが大流行する」という状況を日本で作らずに済んだミクシィとそのオープン化戦略は、ミクシィ上に登場したサードパーティーの農場系のアプリの多くがFacebookで流行していたものの模倣であったとしても、慧眼だったと言えます。

WretchやYahoo!奇摩はこのFacebookの快進撃への対策を打ってないのか、たとえば類似のゲームを提供するとか、というのも聞いてみましたが、台湾ヤフーはその圧倒的なシェアに安心してか、新サービスの投入の速度は遅く、それらしい対応策を取れていないそうです。もっとも、なんといってもまだ一年経っていないわけですから対応していてもリリースできていない可能性はあります。

Yahooが圧倒的に強いアジア地域でFacebookがこれほど伸びたことは珍しく、これをきっかけに本家のFacebookが台湾での成功を調査するのでは、と問いかけてみましたが、やはり市場の小ささからFacebookが台湾を重視することはないだろう、との悲観的な回答がおおく出ました。

顔出し文化

日本のウェブでは、ソーシャルサイトのアイコンの過半がイラストやアニメのキャラクターですし、動画サイトでのダンスや歌唱の披露であっても覆面等で顔を隠す人が多いぐらい、顔を出さないネットユーザーが多く、それについて非難が出ることは少ないです。

しかし、台湾の主要なSNSやCGMサイトでは、顔を出した写真が大量に貼り付けられています。

自分のアイコンを顔写真にするのは当たり前で、アイコンだけじゃなく自分を撮った写真を多数アップロードして訪問者に見せています。

フォトショップによる修正も多いと思われますが、美男美女がどれだけ沢山表示されているか、がサイトの活気をしめしているといってもよいでしょう。

「顔写真を出すことで、ページを見た人はこの人が本当にこういう人として実在するんだ、という確証を持てます。顔を出さないと発言に責任を持っていないようにも見えますし」というのが台湾ブロガー達の解説。この「責任」のくだりをツイッターにも流したところ、日本人からも賛同の声が多数上がりました。(僕自身は顔を出さずに意見を言えるネットはすばらしいと思いますが)

「ネットに顔をさらすことに恐れはないの?」と訊いてみたのですが、「みんな有名になりたいんだ」というのが回答でした。

考えてみれば、一世代前の日本でも、「スター誕生」などの人気オーディション番組や、生中継のテレビカメラになんとか写りこもうとする子供や若者が多数いたことを思えば、これは民族性と言い切れる違いではないかもしれないと思います。日本でも、テレビに出たり有名人になることが一般人のあこがれだった時代はあり、台湾の一般人も今そういうステージにあるということかもしれません。そこにはまだ、ネットで広く顔や名前をさらすと悪意でかかってくる人達も多い、という認識が少ないのでしょう。

中国語のウェブでも「人肉検索」という用語があるように、気に入らない個人の個人情報を調べたり晒したりする行為が無いわけではありません。悪意を持つ人の割合が日本よりずっと少ないということも、たぶんないだろうと思うので、いずれ彼らの顔出し大好き文化も変わっていくのかもしれません。

マイクロブログPlurkについて

Plurkというマイクロブログサービスがあります。横方向に時間軸を取ってメッセージが表示される、一風変わったツイッターの競合サービスです。

台湾は、世界で一番Plurkが流行していることでも知られています。普通の人は誰もツイッターを使っていません。ツイッターを使うのは、英語でつぶやいてみたりする一部のヘビーなネットユーザーぐらいです。

中国のマイクロソフトが、このPlurkのHTMLやJavascriptをコピーして類似のマイクロブログをリリースし、盗作との批判を受けてサービスを閉じるはめになったニュースもありましたが、なぜか中国語ユーザーにはこのタイムライン表記+マイクロブログが使いやすく見えるようですね。

台北滞在中に、Plurkの開発者が訪台し、サーバーサイドJavascriptについてのセミナーを行っていました。Plurkも台湾に一人社員を置いて、活動しているようです。

中国とのビジネスは言葉が通じても楽ではない

「同じ中国語を使うという利点を生かして、中国の巨大なネット人口に対してウェブサービスを提供する展望があるのでは?」というのが、実際にいろいろと話してみるまで台湾のウェブ起業家について思っていたことです。しかし、今回会って話した多くの起業家やブロガーにとっては、その道は決して一番楽な方向とは認識されていませんでした。

中国本土でウェブサービスを開設するにはICPというライセンスを取得する必要があります。また、サーバーも中国国内に設置するように政府から求められるそうで、台湾その他でサーバ運用をできるわけではないということです。

ICPの取得は外国企業にはそもそも無理なので、現地企業と提携するか、現地に会社を設立する必要があります。現地での起業は中国人からの出資を一定比率受けなければなりませんし、どちらの形態にしても、現地のビジネスマンにサイト運営の鍵となる権利を持たれてしまうことになるので、よほど信頼できる相手がいないと不安ということです。

そして、同じ北京語といっても中国と台湾では使っている文字も繁体字と簡体字で違うし、文法や語彙などにも細かい違いが多数あり、台湾で作ってそのまま中国に持ち込めるというわけでもなさそうです。

現状はそんな感じですが、直近の動きとしては中国と台湾の間で両岸経済協力枠組協定(ECFA)という経済交流協定が交渉中で、これによって台湾人が中国でビジネスをしやすくなるのでは、という期待は大きいそうです。

自分が台湾に行く前になんとなく思っていたのは、5,60年前には人の行き来も多かったのだし、海峡の両側に親戚が多数いて、ビジネスでも助け合っているのだろう、というイメージでした。しかし、台湾の若いウェブ業界人にとって、中国は外国であり、(人にもよるのでしょうが)そんなに当てにできる親戚がたくさんいるというわけでも無いようです。

「中国はビジネス習慣や人の考え方がまったく違うし、話が通じないからたいへんだ」と多くの台湾人が言っていたのは予想外で驚きでした。言葉は通じないけれども、できることなら日本とビジネスがしたい、と、これは日本人向けのお世辞もあるとは思いますが。

マーケットが小さいとツライ

台湾の人口は2,300万人。当然、インターネット人口もそれより小さくなり、1,500万人ほどだといいます。

日本でも、ソフトウェア産業やウェブサービスはもっと海外・英語圏に打って出なければならないのでは、という議論は良く起こっています。しかし、前述のように巨大な中国の市場と国内の台湾の市場が別物だとすると、台湾のウェブサービスは「どれだけ頑張っても1,500万人」という上限に当たり、日本よりもはるかに商売としての規模が見込めないということになります。

みんなiPhoneアプリとフェースブックアプリに殺到している

そこで、台湾のソフトウェアベンチャーや起業したい個人がここのところ関心を寄せているのは、中国市場よりもiPhoneアプリ、そしてFacebookだということです。

この両者には、台湾国内でも流行している上に、同じものを英語化して世界に対して売る可能性が存在します。やはり最初は中国語版から作り国内に問うところから始めるところが多いですが、先々により大きな市場があるという点で、台湾の起業家やエンジニアの興味を引いているのは確かなようです。

ウェブやIT企業は、台湾では花形企業ではない

日本でも花形なのかどうかはわかりませんが、話している中で、台湾ではソフトウェア企業で働くことが一番のステイタスなわけではない、という話もされました。

台湾は、半導体、パソコンや液晶ディスプレイなど、ハードウェアの分野で世界レベルのシェアを持つ産業があり、そちらには世界規模の一流企業が多数存在します。そうなると、優れた人材もそちらの方に流れていくし、ソフトウェア業界に一番できる人たちが集まっているわけではない、と言うのです。

台湾系の優れたウェブ企業家が多い点について

ヤフーの共同創業者ジェリー・ヤンさん、ユーチューブの共同創業者スティーブ・チェンさん、そしてグーグル中国立ち上げ時の社長カイフー・リーさん、すべて台湾からアメリカへの移民です。日系でここまでアメリカのインターネット企業で成功した人はいないでしょう。

「何か台湾にそれらの傑出した才能を生み出す秘密があるのでは?」と聞いてみたのですが、この点でも台湾人は謙虚でした。上記の彼らは皆、若い時に米国に移り住んで米国の教育を受けています。台湾の教育システムではなくアメリカの教育システムにこそ何かがあるのだろう、というのが参加者達の意見でした。

中華系ウェブサイトのドメインに数字が多いことについて

台湾の転職サイトのほとんどは、ドメイン名に数字が入っているそうです。また、香港や中国の成功したウェブサービスでも、数字のドメインがたいへん多いとか。数字には意味があるものもあれば、特に意味がないものもあります。