英語圏のタレントブロガー

前の記事で、英語圏でのtwitterに有名タレントが(ライターを雇ってでも)参入、という話を書きましたが、ブログの方は日本ほどテレビタレントが幅をきかせているわけでもないようです。日本のタレントブロガーはギネスに載ってますからね。(カウントの仕方に微妙な点があるとはいえ、)影響力は大きいのでしょう。

ではどんなタレントがブログで有名なのでしょう。2008年のWeblogs Awardsというオンライン投票では、Celebrity Blogger(有名人ブロガー)として投票を受けたのはこういう人たちです。

  • ウィル・ウィートン(俳優)
  • ブリトニー・スピアーズ(歌手)
  • マーガレット・チョー(コメディアン・女優)
  • カニエ・ウェスト(歌手・プロデューサー)
  • ジョン・メイヤー(歌手)
    • 同じ賞の2007年度版で一位を取ったのがギルバート・アリーナスというNBAのバスケットボール選手。余談ですがこの人、僕がアメリカに居た頃に地元のチームに在籍していて、人気選手でした。

      しかしこのアリーナス選手、最近長い怪我から復帰したのはいいのですが、「ブログはもう引退だ」宣言(“No more blogging for me.”)もしています。「プロスポーツ選手で最もブログを活用して意見を述べている中の一人」とも紹介されていますが、ブログを止める理由は「ブログを持つことが諸刃の剣だとわかったから。自分を殺そうとするものになったから」、もっと詳しく言うと、「自分も楽しんでファンも喜んでいたけれど、ブログの一部を抜き出して別の用途(訳注: 言ってないことをニュースにするとか)にみんなが使い出したから」ということです。人気スポーツ選手だから、スポーツ欄の記事のネタに拾われて、言ってもいないことを書かれたりしたんじゃないでしょうか。

      気持ちはわからないでもないですね。僕もブログを何年も書いてきましたけど、書き続けると書いた文章の量は膨大なものになります。誰か悪意のある人がいれば、丹念に過去の文章を掘り返して、二つの矛盾する主張が書かれた記事を見つけたり、最新の事件等で白熱した世論から振り返れば批難できるような記述を見つけ出したりすることもできるかもしれませんからね。まあ、そんな突っ込みの入る記事だらけのブロガーだったらしょうがないですが、そういう人はかえって突っ込まれても気にならなかったりしますし。

    ゴーストトゥイッタラー(Ghost Twitterer)

    有名人がブログを書きまくるタレントブログは、英語圏にはそれほど見られない日本のウェブの特徴だ、と思うのですが、アメリカではブログではなくマイクロブログ(というかtwitter)に有名人が多数参入しているようです。


    ニューヨークタイムズの記事
    によると、50セントのtwitter(なんとフォロー数23万人)などは本人が書き込んでいるわけではなくて、ディレクターが書き込んでいるのだとか。

    日本のタレントブログは、ほとんどが「本人が書いている」ことになっていると思いますけど、アメリカでは、ブログやtwitterを書かせるためのゴーストを雇っていることを公言している有名人も多いのだとか。カニエ・ウェスト、オバマ大統領などもそう。本人が言った言葉を再構成して書くのであれば、直接キーボードを打ってなくてもいい、という考え方なんですかね。

    シャキール・オニールのように、「たった140文字を書くためにゴーストライターが必要な人がいるとしたら、気の毒だね」と言う有名人もいるようですけど。また、ブリットニー・スピアーズのtwitterは、発言ごとに署名が入って、本人が書いたのかマネージャーその他が書いたのかわかるようになっています。

    人を雇ってつぶやかせる、というこのゴーストトゥイッターがファンに受け入れられる、あるいは、ファンにばれないように巧妙にやる有名人が増える、としたら、トゥイッターでつぶやくという職業を持つ人がこれから増えるのかもしれないですね。

    via ReadWriteWeb

    ビートルズの歌詞等を解析できるツール – ビートルズではGoodといえばMorning

    IBMのビジュアライゼーション(可視化)に関する実験サイトmany eyesが公開している、Phrase Netというブラウザツールがあります。

    そのツールにビートルズの歌詞を放り込んで解析させた人の結果が以下のようなもの。

    beatles-lyrics-visualization

    「ビートルズの曲の歌詞では」、ストロベリーといえばフィールズだし、ヘイといえばバンガローでビルだし、ロンリーなのはピープルな傾向にある、というのがわかるわけです。

    “yellow submarine”のようにスペースでつながっている単語を解析すると上記のようになりますし、”rock and roll”のようなandでつながれた関係、”pepper’s lonely”, “top of slide”, “sees the sun”などいくつかの英語での単語のつながり方に応じて、どんなフレーズが多用されているのかを見ることができます。(その場で操作しながら見られるバージョンはリンク先で。ブラウザのJava利用がonになっている必要があります) あらかじめ用意されたパターン以外にも、自分でパターンを指定して解析させることも可能です。

    Phrase Netの本サイトでは、サンプルデータとして、ジェーン・オースティンの「プライドと偏見」全文を解析しています。

    Cisco Fatty騒動/twitterで解雇

    twitterの英語圏でここ数日盛り上がっているらしいのが、”Cisco Fatty”というキーワード。The BrandBuilder Blogの記事「140字以内で職を失う方法」によると、事件はこういう流れのようです。

    1. ある女性がシスコの採用通知を受け取りました

    2. その女性はtwitterを「全員に公開」の状態にしたままで、「シスコから採用通知を受け取った! 今気前のいい(fatty)給料と引き換えに、毎日サンノゼまで通勤して嫌な仕事をするべきかどうか検討しなきゃ」(Cisco just offered me a job! Now I have to weigh the utility of a fatty paycheck against the daily commute to San Jose and hating the work.)というつぶやきを書き込む

    3. (“Cisco”って名指ししてるから当然ですが)コミュニティ担当でもあるシスコの従業員がそのポストを見つけ、twitter上で反応

    「@theconnor, 採用担当は誰だ。彼らは君がその仕事を憎んでいることを知りたがってるに違いないと思うよ。われわれシスコはウェブのエキスパートだからね。」(Who is the hiring manager. I’m sure they would love to know that you will hate the work. We here at Cisco are versed in the web.)

    fatty_answer

    ただし、この強烈なメッセージは、現在書き手のTim Levadさんのtwitterからは削除されてしまっています。

    4. 女性はtwitterをプライベートモードに変更

    5. 女性は放置していたWordPressを使って弁明「あなたがたに知っておいてもらいたいこと(There are things you should know.)」を書き込む

    これだけ多くのtwitterユーザの間で話題になってしまった以上、採用側のシスコもなんらかの対処を取らざるを得ないでしょうね。

    Mixiで繰り返される炎上事件と似たところはあるかと思います。犯罪自慢ではないですけど。twitterで思ってることを数人~数十人の知人に伝えるつもりで書く、なんてことは誰でもやってると思うのですが、社名まで書いてしまっては便利な道具がたくさんある現状、相手に見つかるのは当たり前ですし、もし社名がなくても、時間を使って誰かの発言を追いかけていけば特定できることもあるかもしれません。

    事件を伝える各ブログのコメント欄を見ると、今ベイエリア全体が景気後退影響で沈んでいて、大量の解雇が行なわれており、職探しに血眼になっている人が多い状況で、いい給料に文句を言いながら採用されたこの女性の態度にカチンと来てる人も多いようす。

    仕事がつまらないと思ったり、今やってる仕事が嫌だと思ったりすることなんで誰にでもあるとは思いますが、それをネットに書くことで想像もしなかった大事に巻き込まれることはあるし、これからもっと増えていくのかもしれません。

    しかし、なんかすっきりしない嫌な感じも残ります。上品とは言えませんが、軽口や照れ隠しでこれぐらいのことをしゃべったりすることは、日常あるように思いますし、こういうリスクに備えようとしたら、公開のtwitterやブログをすることも避けたほうがいい、なんて方向にも行きかねない気もします。どうすればいいのかわかりませんが。

    via I’m Not Actually a Geek via The BrandBuilder Blog