[The Japan Times記事翻訳]日本の漫画ファンは携帯電話を図書館に変えた。可能性は尽きない

2010年11月17日 The Japan Timesテクノロジー面に執筆した記事”Possibilities are endless as Japan’s manga fans turn cell phones into libraries”の、自身による和訳です


11月4日、セルシスが東証2部に上場した。日本の産業にとっても良い兆候だ。

この会社はセントレックス、スタートアップのためのマーケットにも上場している。セルシスのサイトによれば、彼らは漫画製作のオーサリングツールや電子書籍のサポートビジネスを提供している。

主に携帯電話からアクセスされる日本の電子マンガ市場は巨大だ。調査会社インプレスR&Dによれば、2009年の電子書籍市場サイズは574億円。これは前年の23.7%増しだ。この市場の89%(513億円)は日本の携帯電話向けで、10%がパソコンから、アマゾンのキンドルやアップルのiBookstoreなどの新プラットフォームの割合は1%でしかない。

さらに、この統計にはマンガファンでない読者にとっても興味深い数字が含まれている。日本の携帯電話上で販売されている電子書籍の83%、428億円は電子マンガなのだ。

今月、フォレスター・リサーチは米国での電子書籍市場が今年96.6億ドルになりそうだという予測を公開した。これを円で比較してみると、今年の米国の電子書籍ビジネスは820億円となる。そして、昨年に居本で売られた電子マンガは428億円だ。人口比が2.5対1ということを考えると、いかに多くの日本人が携帯電話で電子マンガを購入し、読んでいるかがわかるというものだ。

では、国中の携帯電話で読まれているマンガはどのようなものか? MMD研究所の2009年の調査では、最も人気のあったマンガのカテゴリーは: アダルト、恋愛、コメディだった。半分以上のユーザーは「いつでも、どこでも読める」ので電子マンガの方が良いと回答した。3分の1以上は、何を読んでいるかを知られないのは利点だと言っている(これはアダルト物の人気が高いことの理由かもしれない)

最大の疑問は、マンガ愛好家達はあんなに小さな携帯電話の画面でマンガを読むことに耐えられるのだろうか、だ。画面サイズは3インチから4インチで、マンガ中の吹き出しを読ませるのは難しい。最近のフィーチャーフォンは480×854など非常に良い画素数を誇るし、写真撮影や動画の閲覧には素晴らしいが、人の目には小さな文字を読むのには辛い。そして、伝統的なマンガは一枚のページに多数のコマを含んでいる。

このようなマンガを(ほんとうに)小さな画面に合わせるためには二つの方法がある。一つ目は、オリジナルをスキャンしたページに方向を指定したスクロール機能をつけるものだ。読者が電話のホームボタンを押すと、視点が読まれるべき順で動いていく。

もう一つの方法は、コミックの各コマを独立したページに加工することだ。小さなコマの場合は二つが一ページに表示されることもあるし、携帯電話のボタンを使って水平や垂直に長いコマはスクロールで読むこともある。

全体として、有力なツールは両方の方式をサポートしている。スクロール方式は作成のコストが低いという利点がある。コマを分けるアプローチは、しかし、ユーザーにとっては使い良いし、あまり多くはないが携帯電話向けに一から描いたマンガならこちらの方式になるだろう。

電話向けの追加機能は、既にビジュアル・サウンド・バイブレーションなどの効果として存在している。コマはフェードで徐々に次のコマに切り替わったりするし、突然色でいっぱいになることもある。キャラクターが歩くときにコツコツと足音を鳴らすことも。重要なシーンでは声優がキャラクターの声を「話す」マンガさえある。ホラーマンガでタイミング良く電話が震えたら、読者は椅子から飛び上がった驚くかもしれない。

電子書籍リーダーが紙の内容を単純にタブレットデバイスに移しているように見える一方で、電子マンガはデータの変換と特殊効果の追加で多くの作業を必要としている。

セルシスの東証への移動は、その成長とさらなる成長への可能性を示している。しかし、産業が本当に儲けようとしているなら、海外への進出は不可避だ。海外の国々でのマンガ人気を見れば、不可能とは言い切れない。いまのところ、いくつかの企業が携帯電話の電子マンガを主にアジアへ、そしてヨーロッパの市場へと持ち込もうとしてきた。国内でのそれのような大きな成功話は「まだ」聞かないが、アジアのいくつかの国は、電子マンガで既に重要な役割を果たしている。アウトソース先としてだ。

スキャンした紙に順路を指定したり、ページのコマをバラバラにして特殊効果をつけたりするのはたいへんな作業だ。(電子マンガの編集ツールを使っての)オーサリング作業は、日本語はわからなくても労働力が安い、中国、インド、モンゴルといった国に移されることもおおい。

コマの順番がわからない者が製作に関わるようなことは問題を生むだろうが、ネイティブによるチェックで解決できる。そしてそれでも、トータルのコストは安上がりだったりするのだ。

日本では毎年1万点以上のマンガが発行され、これに加えて数えきれない程の過去のマンガがある。より多くの読者が携帯電話でマンガをデジタルに読んでいくなら、コンテンツの供給がすぐに途切れることはないだろう。


アッキー秋元はAsiajin.com、日本のウェブ業界を扱う英語ブログ、で書いている。この記事の日本語版は彼のブログakimoto.jpで読める。ツイッターは@akky


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