[書評] ドキュメント戦争広告代理店 情報操作とボスニア紛争

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ドキュメント戦争広告代理店という本を読みました。ユーゴスラビア連邦(この時点ではセルビアとほぼ同義)からのボスニア・ヘルツェゴビナの分離戦争の趨勢にアメリカの広告代理店がどのように絡んでいたかを最初から最後まで関係者の証言や資料を洗って記述した本です。

日本を含めた西側の報道では、セルビアが一方的にボスニアに「民族浄化」を仕掛けていたとされがちだし、ミロシェビッチがすべて悪いという風になっていた感がありますが、その背景にはPR会社を(偶然の幸運はあっても)使いこなした国と気にしなかった国という差があり、それが気づいた頃には挽回のできないほどの印象差を生み出した、ということが丹念に、恐ろしいほど客観的中立的に書かれています。

国家間の戦争は人類の活動としては最大級のものだと思いますが、それにすらこのように広告代理店が介在しているのだから、世の中のあらゆる情報の背景にそのような支援者が居たとしても不思議ではないのかな、という気にさせられます。

しかし、広告代理店も悪意があるわけではなく、プロとしてクライアントのために最大限の効果を出そうとしているだけなんですよね。そうなると、正邪や勧善懲悪といったわかりやすい答えを求める読み手側に問題があるということだと思うのだけれど、その問題が解消されることなんてあるのかどうか。

仮想経験のデザイン インターネット・マーケティングの新地平

けんすうさんのブログで薦められていた(ような気がする。元記事見つからず)ので読んでみました。

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日本の2ちゃんねる、ハビタット、ライブドアブログ、ミクシィ、カフェスタ、ヤフー・アバターなどと、海外のハボホテル、サイワールド、アイパートメント、校友録、アイラブスクールなど、ユーザコミュニティの場として成功、あるいは失敗したネットサービスを詳細に解説しています。特に海外の事例ものは、言葉の問題で詳しくはわからないものが多いので、参考になりました。

著者は大学の先生やそこの学生らで、研究成果として書かれた本のようなので、まとめと考察の第三章などは言葉遣いが難解で疲れました。ちゃんと理解できたか自信ないですが、ネット上ではネット外では何の価値もないような、アバターを飾るとかデジタルデータを贈ったり交換したりすることに価値が産まれる、あるいはその価値を生むことができるサービスが、コミュニティサービスとして成功している、ということを言っているように思います。

おすすめされた本を読んだので、次はいよいよ Webコミュニティでいちばん大切なこと。 CGMビジネス“成功請負人”たちの考え方に取り掛かります。

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反・進化論講座―空飛ぶスパゲッティ・モンスターの福音書

いわゆるFlying Spagetti Monster、FSMについての解説本、じゃなかった福音書。この翻訳で、FSMの日本語訳は「スパモン」ということになったようです。本家のお墨付きももらっているようですし。FSMというわかりにくい略語より「スパモン」となったことで、これから日本でも海賊が増えるかもしれません。

スパモン教では、インテリジェント・デザイン(なんかわからんけどすごい存在がこの世界を創造した、という説。まあ「すごい存在」というのが最初から特定の宗教の神を指してるわけですけど)が進化論に対して行っている攻撃を、同じ手法でなぞっていくことにより、その主張のバカバカしさを明らかにしてくれるわけです。

そのやり方がユーモアと智恵にあふれているため、スパモンは面白いし、この本も面白い。虚実織り交ぜたいろいろな薀蓄、主にアメリカの現代文化や風俗に絡んだ冗談が多く使われているので、翻訳者はたいへんだったろうなあ、とも思います。

僕も、スパモン教なら入信してもいいかな、と思いました。ドグマの否定、ってのがいいですね。

ラーメン

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