[訂正] ツイッターのアカウント数で日本がブラジルに抜かれ3位に – Semiocast調査

[訂正] つぶやきの数ではなくアカウントの数でした。ごめんなさい

ツイッター利用者とツイートのプロフィール・言語・タイムゾーン・位置情報などを分析してレポートを出しているフランスSemiocast社の1月31日付けの新しいレポートによると、これまでアメリカに次いで世界2位の座を維持してきた日本からのつぶやきアカウント数が、ブラジルに抜かれて3位に落ちたということです。

Semiocastは3.83億個のTwitterアカウントを調査しており、昨年末時点でのブラジルのアカウント数は3330万個で、日本の2990万個を上回っています。4位以降はイギリス、インドネシア、インド、メキシコ、フィリピン、スペイン、カナダと続きます。インドネシアやインドはFacebook大国としても知られていますが、ツイッターでも上位に来ていますね。

Semiocastの以前の調査レポートでは、日本が2位ということで日本のニュースサイトでも取り上げられていました。

Twitter投稿数、日本は世界で2位~仏Semiocast調べ -INTERNET Watch

頭数ではブラジルに抜かれたものの、ユーザーの活発さという意味では日本は次のグラフのようにオランダに次ぐ2位の位置を押さえています。

これは、2011年9月から11月までの間に一つでもつぶやいたユーザーの割合を国別に出したもので、日本のアカウントは30%が生きているということになります。7割は3ヶ月何もつぶやいてない、ということですが、世界平均でもつぶやいているのは27%のアカウントということで、残りは作ったまま放置されているのでしょうね。

その3ヶ月間につぶやいてないけど、アイコンを変えたり誰かをフォローしたりした人の割合だと、世界平均で48%になるということで、まったくつぶやかないけど他の人のつぶやきを読むために使っている人は半数近くになるということでした。

電子書籍で世界をリードする日本

ここのところ毎年が電子書籍元年ですけど、日本の電子書籍市場ってものすごく大きくて、それも今年突然伸びたわけじゃないんですね。

検索で良く出てくるのが矢野経済研究所のレポートで、最新のは2010年11月18日に出たこれ [pdf] かなと思いますが、2009年時点で630億円の売上があると推計されています。2010年の予想は670億円。

一方アメリカの方はというと、2010年11月8日にフォレスターが2010年の売上が9.66億ドルになりそうだ、と言っています。これを今日のレートで換算すると796億円になります。

あれ? 人口が2.5倍いるのに、売上は18%しか多くないですよ。iPadとかKindleがあってもそんなものなんだ。

インプレスR&Dのレポートでは、日本の電子書籍市場の89%は携帯電話向けで、その中心は電子コミックだということです。なるほど。ケータイで読むマンガが日本の電子書籍の主流で、その規模はマーケットがもっと大きなはずのアメリカとも匹敵するレベルにあるんですね。

じゃあなんでこのへんを無視して「電子書籍元年」とか言っちゃうかというと、ケータイでマンガを読むことを「ケータイで読むのは読書じゃないし、漫画は書籍じゃない」と言うような人達が、これまで長年やってきた紙の厚い本を読む習慣に似たものだけを「電子書籍」と言ってもてはやしているのではないかなあ。

僕は漫画が大好きで、文字の本と漫画で同じものが書かれていたら迷わず漫画の方を読むので、もっと漫画が増えればいいし、世界中の人ももっと漫画で知識を得るといいよ、と思っています。

参考:

秋元 » 書籍vs電子出版じゃなくて、書籍vs電子出版vsウェブだよね

秋元 » [The Japan Times記事翻訳]日本の漫画ファンは携帯電話を図書館に変えた。可能性は尽きない

日本向けのウェブデザインというのはあるのか?

日本進出に興味のある海外企業や外国人から質問されることがあるので、まとめてみたいと思います。

僕はウェブデザイナーじゃないので、プロの方から補足や突っ込みがいただければとても嬉しいです。

[更新 2011-02-01] コメント・ツイッター・はてブからの意見を反映させました。

ある程度まとまったら英語にしてAsiajinにも書こうかと思います。


日本向けにウェブサイトを作るときに特別しないといけないことはあるのか?

「メニューの文字をGoogle Translateで全部日本語に置き換えたけど、これでいいかな? 他にすることある?」

– 機械翻訳は使い物にならない

英語-フランス語、とか英語-スペイン語、のノリで機械翻訳を使っても、あなたが想像するレベルの日本語には決してならない

# 英語に再機械翻訳してのチェックは必須だが、それでも日本語訳のおかしさが見えてこないケースもある

– フォントが大きい

英語ページと同じサイズのフォントを使うと、日本語としては読みづらくなる。これは英語が26文字の並びで読ませるのに対して、日本語では一文字中により多くの情報が入っていて、似ている他の文字も多いため

– デザインフォントは少ない

数百文字程度作れば新しいフォントができる英語と違い、7000~23000文字の必要な日本語では統一したデザインで新しいフォントを作るのはたいへん。その結果フォントの選択肢は少ないため、英語版で使っていた変わったフォントと同じようなフォントがあるとは限らない

その代わりに、絵文字やアイコンサイズのイラストなどを良く使う。携帯ウェブの場合、企業サイトですら絵文字を使ったりする

– 検索の需要が欧米より低い

理由は、検索よりナビゲーションを好む人の割合が多い(例: Yahoo! JapanはGoogleより人気)から。日本語で実用になる検索機能を作るのは技術的にもよりたいへんなため、検索にあまり期待していないユーザーが多い。たとえば、日本ではフェイスブックより流行したTwitterは、いまだに満足な日本語の検索ができないが、それほど普及の障害とはなっていない。

温かみやかわいい系のデザインが受け入れられやすい

企業サイトでも原色やパステルカラーをアクセントに使ったりするところがある。暖色系を多く使った「温かい」デザインや「かわいい」アクセントが受容されやすい

(例: サイボウズOfficeの色使いはアメリカだと「プロフェッショナルな感じがしない」となったが、日本でパステルカラーであることへの文句はあまり聞かない)

– 適切な制限文字数はより少なくなる

Yahoo.comのニュースヘッドラインが40文字程度なのに対して、Yahoo! Japanのヘッドラインは13文字。これは一文字あたりの情報量が多いことから、同じ内容を表す文字数が少ないことによる。前記の標準的なフォントサイズとも関連する

入力フォームにおいても、英語の時のフォームのテキストボックスの幅をそのまま使ったりすると、期待される文字数よりもずっと横長のボックスになってしまい、ユーザーを惑わせることになる

– イラストやマンガを多用する

たとえば、「楽しそうな家族のイメージ」を表すのに、モデルを使った写真とイラストから後者を選択するサイトの割合は日本の方が多い(モデルに有名人を起用する場合は例外)

人物や擬人化した動物のイラストなどをガイド役にサイト上に置いたりする。大人向けのサイトで動物のイラストがあっても、ユーザーを馬鹿にしているわけではない。

– アルファベットはデザイン上のアクセント

英単語を使っている日本のサイトもあるが、リンクテキストなど重要な動線で英単語しかないというケースはあまりない。英単語はあまり重要でないところにデザイン上のアクセントとして置いてあるのであって、英語が読めることを期待して英単語を未翻訳で残してはいけない。どの英単語ならそのまま使っても嫌がられないかの判断はネイティブでないとほぼ不可能(日本人が誰でもわかる簡単さは、彼らの考える簡単な単語とは違うので)

– 詰め込み過ぎに見えるeコマースサイトは、意図的にやっている

楽天等のデザインが古臭くて詰め込み過ぎでわかりにくい、という批判が外国人から出ることが多いが、あれは必ずしも日本のウェブデザイナーがシンプルさやわかりやすさを理解していないからではない。マーケットで買い物をするような楽しさを演出するためにわざとやっている部分がある。これは日本の実際の店舗(代表的なのはドンキホーテ)を見ても通じるところがある。

– 長いセレクトボックスでアルファベット順に表示、に相当する並べ方が存在しない

英語なら国名や州名は辞書順で、キーボードを押してジャンプできるが、日本語ではこれはできない。セレクトボックスでの選択肢の順序は、選択させる内容によってマニュアルで設計しないといけない(たとえば、都道府県の場合北から南、が多い)

– 入力フォームの後、確認画面を表示するサイトが多い。そのため、入力する側でもそれを期待する人は多い

投稿を押してすぐ投稿されてしまったことに慌てるユーザーもいる。企業や銀行等では確認画面が特に多用される。カジュアルなサービスではすぐ投稿できるサイトもみられるので、どちらがよいかはサイトのカテゴリーや利用者のリテラシーレベルにもよって判断しないといけない

– 閲覧時の郵便番号からの地域絞込みは米国ほど多用されていない。都道府県を列挙したリンクや地図をクリックしてのドリルダウンが多い
– 入力フォームでの郵便番号からの住所絞込みと入力ボックスへの設定は多用されている(米国ではあまりみない)
– 年月日の順序、時刻の表記、小数点(欧州と)などの形式が異なる
– 単数複数にはこだわりがない。物の個数の後ろにつく字が物の種類によって変わる

[2011-02-01] 追加

斜体は使わない

日本語のフォントは斜体では読みにくい。もともと斜体で表現される文章が少ない。英語で斜体だからといってそのまま斜体にするのではなく、その部分の表現に対応した日本語での強調表示を選ぶ。

– 日本語には英語のキーボードにあるほとんどの文字(ローマ文字、数字、記号等)に、日本語固有の別バージョンが存在する。表記時はサイト全体で統一感を出す必要がある。また、状況に合わせての使い分けをした方が良い場合もある。入力フォームでは、どちらの文字が使われても、あるいはミックスして入力されても、正規化して受け取るのが望ましい(日本人の作ったサイトでもできてないものはあるが、その場合でもどちらの文字セットを受け取れるかのガイド表記などはしている)

– 携帯ウェブの絵文字

絵文字は一文字でアイコンのように使えるものも多いため、携帯サイトでは多用される。絵文字を使わなくてもサイトは作れるが、一般的に使われるような絵文字は同様に使った方が携帯サイトとして自然なできあがりになる。サイトの分野にもよるが、まじめなサイトでも使われる絵文字もある

– 携帯ウェブの空メール

携帯電話でのインターネットメールが普及していること、サービス名からURLを推測するのが英語圏より困難なこと、等の理由から、URLを案内するのに指定したアドレスにメールを送らせ、自動返信でURLをメールで教える、という手順が一般化している。ブラウザ上で登録情報を入れてから本人確認でメールを送るのではなく、メールを送って本人確認してから本人に結びついた状態で登録ページに案内するという動線も多い

– QRコード

ようやく米国でも事例が増えてきたが、日本ではモバイルサイトを開くなら必ず使う、ぐらいに考えてよい

[The Japan Times記事翻訳] 日本のウェブ2011年の見通し

2011年1月19日 The Japan Timesテクノロジー面に執筆した記事“Japanese Web outlook and predictions for 2011”の、自身による和訳です

# 先週掲載されたものです。訳が遅れてしまい、すいません。


日本のインターネット利用者の、和製ソーシャルネットワークから国際的なネットワークへの移行や、通常の携帯電話からスマートフォンへの移行の多くの兆しが昨年見られました。海外の影響は他のウェブ領域でも感じられます。では2011年はどんなことが予期できるでしょう?

ツイッター: 2010年のヤフージャパンによる年間検索ランキングは2009年と代わり映えのしないものでした。しかし、一つだけ大幅に順位を上げたのが「ツイッター」。100位圏外から8位へと入ってきたのです。日本のインターネット利用者にとって、2010年はツイッターの年でした。

年間に渡り、テレビのニュースやドラマがツイッターを取り上げ、鳩山由紀夫前首相などの有名人も呼び込みました。書名に「ツイッター」と入った書籍は100冊ほども出版されました。

しかしながら、伸び悩みの兆候が見られないわけではありません。

一つは人間のふりをする自動プログラム「ボット」の問題です。日本のユーザーはこれらのスクリプトと会話することを受け入れて来ましたが、ボットのあまりの多さとそのつぶやきは、真の日本のツイッター人口を知ることを難しくしています。

また、メディアも少しツイッターに飽き始めているようです。彼らは「次に来る大物」を報じ始めています。つまり、フェイスブックです。

フェイスブック: ツイッターと比べれば、フェイスブックは日本で離陸したとは言えません…いまのところは。

フェイスブックは昨年2月、東京都心に日本事務所を開設し、過去半年で日本の利用者は50%増加しました。しかしながら、この増加率では、日本の三大ソーシャルネットワークの規模に追いつくのが2014年になってしまいます。

日本の運営マネージャーの児玉太郎氏はネットワークの「実名」ポリシーは日本でも継続すると宣言しています。あなた自身をソーシャルネットワークで露出することは多くの利点を伴うというのです。しかし、ミクシィとグリーの両方とも、その初期(2004-2005)には実名を推奨していました。それがいろいろ問題を起こしたので彼らはポリシーを変更し、ニックネームの利用を薦めています。フェイスブックの利用者が違う結果を産み出すならば興味深いことでしょう。

最近の映画「ソーシャルネットワーク」の公開にあわせ、日本のメディアはフェイスブックについて報道をしています。報道は一年前にツイッターで、その数年前にセカンドライフで行われていたものと類似しています。結果として、人々はフェイスブックを試しているところです。しかし、もし映画の活気でも登録者数がそれほど増えなかったとしたら、彼らも日本向けのマーケティングポリシーを再考しないといけなくなるでしょう。

個人的には、フェイスブックにとって日本に進出するもっとも安全な策はローカルなライバルのミクシィを買収することだと考えます。ミクシィの企業価値はグリー・ディーエヌエー(モバゲータウン)との激しい競争によって下落中です。フェイスブックは、もし注意深く実行すれば、そのユーザーを失わずに統合することも可能でしょう。しかし現段階では、彼らは自信を持って彼らのやり方を通そうとしているようです。

モバゲータウンとグリー: 日本のソーシャルネットワーク企業を見ると、日本の巨大ソーシャルネットワークの一つモバゲータウンを運営するディーエヌエーは昨夏、340%の利益増加を達成しています。その競合グリーも74%を増やしました。両社とも、簡単で無料の、しかしユーザーが追加でアイテムを購入できるゲーム群を中心にビジネスを構築しています。ソーシャルネットワークとそこでの広告でビジネスをしているミクシィはついていくのに必死です。

モバゲータウンとグリーは、しかしながら、子供が購入した仮想アイテムの高額な請求を受け取った親からの文句を受け取っています。両者はテレビで大量の広告を流しています。パチンコ企業のように。ソーシャルゲームはギャンブルと似た問題を抱えていると言って何らかの規制を提案する人々も中には存在します。もしそのようなことが起こるなら、両社にとっては大きな問題となるでしょう。

ヤフージャパンとグーグル: 2010年のもう一つの大きなニュースは、ヤフージャパンとグーグルによる検索の提携でした。ヤフージャパンはアメリカのヤフーによる検索エンジンの供給を諦め、グーグルのエンジンに切り替えをしました。それはつまり、日本のパソコン上での95%以上の検索がグーグルの基盤によるということです。グーグルとヤフーはアメリカでも同じ提携を試みましたが、独占禁止の懸念から止められています。日本の公正取引委員会は12月にこの日本での取引を承認しました。

近年、ヤフージャパンは自社サービスを諦めていくつかの分野のリーダー企業との協業に切り替えています。ゲームではモバゲータウンと、ファッションではゾゾタウンと、そして検索ではグーグルと。もしこの戦略が続くのであれば、今年はより多くの、既に成功したプレイヤーとヤフージャパンの提携を見るのではと思います。

楽天の国際化: 国内のインターネット市場における活動的なプレイヤーとしては楽天もいます。昨年の楽天の社内英語公用語化の決断は、その日本人社員とともに業界で働く多くにもショックを与えました。縮小する国内の人口と市場はこの市場での将来の成長を目指す企業にとってあきらかなリスク要因です。経営陣が海外市場に目に向けるのはもっともでしょう。しかし、これまでのところ、日本のウェブ企業による海外進出の成功事例はほとんどありません。日本の自動車や電化製品は海外への進出を成し遂げましたが、そこには製品自身(の良さ)が売り込みとなるという性格もあったでしょう。しかしウェブサービスの企業は言語の問題を避けて通ることはできません。

グルーポン: 海外から日本を襲った最新のトレンドはその名も「フラッシュクーポン」でしょう。アメリカでのグルーポンの成功や、その日本支社の立ち上げを受けて、170社ほどがこの時間制限、前払い、ソーシャルメディア利用のクーポンシステムに殺到しました。

しかし、2011年は、日本の消費者が最も重要と見る分野-食品-でのグルーポンジャパンのトラブルで始まりました。象徴的なことに、その問題を引き起こしたのは(新しい年を祝う)おせち料理でした。

グルーポンに掲載された横浜のレストランバードカフェが、予想を超える需要でおせちの配達や品質を確保できなかったのです。100セットの注文を予期していたのに500セットの注文が届き、注文をキャンセルするのでなく何とかしようとした結果、破滅的な結果を見ました。広告と実際に配達された(明らかにみすぼらしい品質の)商品の比較写真に多くの不平不満を添えたものがオンラインに流れ、日本のメディアで大きく取り上げられました。グルーポン本社CEOアンドリュー・メイソン氏までがユーチューブで謝罪を行っています。この論争が日本企業にフラッシュクーポンのビジネスモデルを使わせることになるかどうかはともかく、700名ほどまで社員を増員したと言われるグルーポンジャパンはこのビジネスを当面継続することになるでしょう。

[The Japan Times記事翻訳]日本の漫画ファンは携帯電話を図書館に変えた。可能性は尽きない

2010年11月17日 The Japan Timesテクノロジー面に執筆した記事”Possibilities are endless as Japan’s manga fans turn cell phones into libraries”の、自身による和訳です


11月4日、セルシスが東証2部に上場した。日本の産業にとっても良い兆候だ。

この会社はセントレックス、スタートアップのためのマーケットにも上場している。セルシスのサイトによれば、彼らは漫画製作のオーサリングツールや電子書籍のサポートビジネスを提供している。

主に携帯電話からアクセスされる日本の電子マンガ市場は巨大だ。調査会社インプレスR&Dによれば、2009年の電子書籍市場サイズは574億円。これは前年の23.7%増しだ。この市場の89%(513億円)は日本の携帯電話向けで、10%がパソコンから、アマゾンのキンドルやアップルのiBookstoreなどの新プラットフォームの割合は1%でしかない。

さらに、この統計にはマンガファンでない読者にとっても興味深い数字が含まれている。日本の携帯電話上で販売されている電子書籍の83%、428億円は電子マンガなのだ。

今月、フォレスター・リサーチは米国での電子書籍市場が今年96.6億ドルになりそうだという予測を公開した。これを円で比較してみると、今年の米国の電子書籍ビジネスは820億円となる。そして、昨年に居本で売られた電子マンガは428億円だ。人口比が2.5対1ということを考えると、いかに多くの日本人が携帯電話で電子マンガを購入し、読んでいるかがわかるというものだ。

では、国中の携帯電話で読まれているマンガはどのようなものか? MMD研究所の2009年の調査では、最も人気のあったマンガのカテゴリーは: アダルト、恋愛、コメディだった。半分以上のユーザーは「いつでも、どこでも読める」ので電子マンガの方が良いと回答した。3分の1以上は、何を読んでいるかを知られないのは利点だと言っている(これはアダルト物の人気が高いことの理由かもしれない)

最大の疑問は、マンガ愛好家達はあんなに小さな携帯電話の画面でマンガを読むことに耐えられるのだろうか、だ。画面サイズは3インチから4インチで、マンガ中の吹き出しを読ませるのは難しい。最近のフィーチャーフォンは480×854など非常に良い画素数を誇るし、写真撮影や動画の閲覧には素晴らしいが、人の目には小さな文字を読むのには辛い。そして、伝統的なマンガは一枚のページに多数のコマを含んでいる。

このようなマンガを(ほんとうに)小さな画面に合わせるためには二つの方法がある。一つ目は、オリジナルをスキャンしたページに方向を指定したスクロール機能をつけるものだ。読者が電話のホームボタンを押すと、視点が読まれるべき順で動いていく。

もう一つの方法は、コミックの各コマを独立したページに加工することだ。小さなコマの場合は二つが一ページに表示されることもあるし、携帯電話のボタンを使って水平や垂直に長いコマはスクロールで読むこともある。

全体として、有力なツールは両方の方式をサポートしている。スクロール方式は作成のコストが低いという利点がある。コマを分けるアプローチは、しかし、ユーザーにとっては使い良いし、あまり多くはないが携帯電話向けに一から描いたマンガならこちらの方式になるだろう。

電話向けの追加機能は、既にビジュアル・サウンド・バイブレーションなどの効果として存在している。コマはフェードで徐々に次のコマに切り替わったりするし、突然色でいっぱいになることもある。キャラクターが歩くときにコツコツと足音を鳴らすことも。重要なシーンでは声優がキャラクターの声を「話す」マンガさえある。ホラーマンガでタイミング良く電話が震えたら、読者は椅子から飛び上がった驚くかもしれない。

電子書籍リーダーが紙の内容を単純にタブレットデバイスに移しているように見える一方で、電子マンガはデータの変換と特殊効果の追加で多くの作業を必要としている。

セルシスの東証への移動は、その成長とさらなる成長への可能性を示している。しかし、産業が本当に儲けようとしているなら、海外への進出は不可避だ。海外の国々でのマンガ人気を見れば、不可能とは言い切れない。いまのところ、いくつかの企業が携帯電話の電子マンガを主にアジアへ、そしてヨーロッパの市場へと持ち込もうとしてきた。国内でのそれのような大きな成功話は「まだ」聞かないが、アジアのいくつかの国は、電子マンガで既に重要な役割を果たしている。アウトソース先としてだ。

スキャンした紙に順路を指定したり、ページのコマをバラバラにして特殊効果をつけたりするのはたいへんな作業だ。(電子マンガの編集ツールを使っての)オーサリング作業は、日本語はわからなくても労働力が安い、中国、インド、モンゴルといった国に移されることもおおい。

コマの順番がわからない者が製作に関わるようなことは問題を生むだろうが、ネイティブによるチェックで解決できる。そしてそれでも、トータルのコストは安上がりだったりするのだ。

日本では毎年1万点以上のマンガが発行され、これに加えて数えきれない程の過去のマンガがある。より多くの読者が携帯電話でマンガをデジタルに読んでいくなら、コンテンツの供給がすぐに途切れることはないだろう。


アッキー秋元はAsiajin.com、日本のウェブ業界を扱う英語ブログ、で書いている。この記事の日本語版は彼のブログakimoto.jpで読める。ツイッターは@akky


[原文]