料理ウェブサイトのユーザーをめぐる戦いは総力戦のレシピへ

この記事は2011年2月16日のThe Japan Timesに書いたコラムの翻訳です。月1で日本のWeb事情に関するニュースコラムを寄稿しています。運営している英語ブログAsiajin.comの読者層開拓が目的です。

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近年より多くの女性が結婚後も働き続けるようになってきたとは言え、日本では、家族のための食事を用意するという役割りを女性に対して期待するのがまだまだ普通です。そして作るのが夫や子供のためのベントー(ランチボックス)であれ晩御飯であれ、日本の主婦はインターネットを使ってレシピを探すことで知られています。

そういう状況では、世界で最も成功している、と言ってほぼ間違いないであろうオンラインレシピサイトが日本のものだというのもそれほど変ではないでしょう。

87万件の無料のユーザー投稿レシピを擁する、Cookpad.comは、一千万人以上のユーザー – その96.5%が女性(さらにその75.3%が既婚) – を誇っています。サイトの集める月間4.45億ページビューは、AllRecipes.comやFood Networkといったアメリカのレシピサイトのトラフィックに匹敵するもので、日本語話者にしか読めないサイトで、しかもその半数しかターゲットにしていないということを考えれば、悪くない数字でしょう。(もしもっと多くの男性が料理を始めたなら、この成功はもっと拡大するということです)

クックパッド社は東証マザーズ(成長企業向けの株式市場)に上場しており、2010年の会計報告によれば22億円の売上、5.67億円の利益があります。しかしサイトが「無料」だとしたらどうして金銭的な成功が得られているのでしょう?

その答えは有料会員、企業マーケティング、広告のこの順番での組み合わせです。

有料会員数は公表されていませんが、売上の数字から推測することはできます。45万人の会員が毎月294円を支払い、人気順でのレシピの並べ替え、(無料では20件のところ)3000件のレシピブックマーク、(無料では10人のところ)50人の作者のレシピ購読、過去のレシピのより良い検索、といった機能を使っています。45万人といえば日本の人口の300人に1人になります。レシピの提供という一機能だけのサービスにも関わらず、クックパッドが日本で最も成功している有料会員サービスの一つであるというのは誇張ではないのです。

ウェブ企業楽天は、反対に、日本最大の電子ショッピングモール楽天市場の周りに形成されたコングロマリットです。楽天ブランドは書籍販売、旅行予約、銀行、電子マネー、オークション、クレジットカード、野球チームなどを広くカバーしています。

2010年10月に、この楽天がそのラインアップに楽天レシピを加えました。基本的に、楽天レシピはクックパッドの提供しているものをすべて、しかも有料会員無しに提供しようとしています。トップページや他サイトへのバナー広告で高らかに「レシピの人気順表示が無料です」などと誇らしげに語っていることから、クックパッドユーザーをターゲットとしているのは明白です。

クックパッドと異なり、楽天レシピはレシピ投稿者に褒賞を出しています。楽天グループは楽天スーパーポイントと呼ばれる、グループ内を還流する仮想通貨を持っています。レシピの投稿ごとに50ポイントが得られ、これを使えば、たとえば楽天市場で50円分の割引が受けられます。レシピを使った料理レポートを書いたユーザーも10ポイントがもらえます。

もしこれがあなたの仕事だというなら、新しいレシピを一本書いて50円というのはそれほど素晴らしくも見えません。しかし、すでに大量のレシピを他所で書いていたら? 楽天レシピに再投稿するだけでちょっとしたお小遣いになるでしょう。楽天レシピの公式ブログは他人のレシピを盗用しないように警告していますが – オリジナルの作者から苦情を受けたということもありえます – 写真や文章には著作権があるとはいえ、料理の手順自身にはありません。つまり、レシピを再作成して新しい写真や書き直した文章をつければ、公明正大に50円の稼ぎ、というわけです。

楽天のもう一つの優位性はオンライン商店のバラエティです。レシピから商店の食材や調味料や調理器具へのリンクは将来楽天レシピに追加の収入をもたらすかもしれません。

ユーザーが貢献するコンテンツに対価を支払うことは、必ずしもサイトの成功につながるとは言えません: たとえば、ウィキペディアはコンテンツに対して報酬を支払いませんが、同種のサイトの中ではナンバーワンです。しかし、クックパッドユーザーの忠誠心は楽天の支払いによって試されています。

ニールセンオンラインによれば、楽天レシピは2010年11月 – まだ開設2ヶ月目です – にクックパッドの4分の1の訪問者を迎えたということです。彼らは第二位のレシピサイトYahoo!レシピを急速に追撃しています。

ヤフージャパンの戦略は、Yahoo!モバゲー(モバゲータウンとのPCゲームポータル)や服飾のYahoo!ゾゾタウンなどに見られる、カテゴリーごとに帝国を広げていこうとしています。彼らのレシピサイトも、ポータルにやってくる大量の訪問者を活用したものです。

クックパッドのような独立系の専門サイトが、ヤフーや楽天のようなブラックホールに飲み込まれることなくウェブのデパート達に対抗して生き残れるかは、興味のつきないところです。

[The Japan Times記事翻訳] 日本のウェブ2011年の見通し

2011年1月19日 The Japan Timesテクノロジー面に執筆した記事“Japanese Web outlook and predictions for 2011”の、自身による和訳です

# 先週掲載されたものです。訳が遅れてしまい、すいません。


日本のインターネット利用者の、和製ソーシャルネットワークから国際的なネットワークへの移行や、通常の携帯電話からスマートフォンへの移行の多くの兆しが昨年見られました。海外の影響は他のウェブ領域でも感じられます。では2011年はどんなことが予期できるでしょう?

ツイッター: 2010年のヤフージャパンによる年間検索ランキングは2009年と代わり映えのしないものでした。しかし、一つだけ大幅に順位を上げたのが「ツイッター」。100位圏外から8位へと入ってきたのです。日本のインターネット利用者にとって、2010年はツイッターの年でした。

年間に渡り、テレビのニュースやドラマがツイッターを取り上げ、鳩山由紀夫前首相などの有名人も呼び込みました。書名に「ツイッター」と入った書籍は100冊ほども出版されました。

しかしながら、伸び悩みの兆候が見られないわけではありません。

一つは人間のふりをする自動プログラム「ボット」の問題です。日本のユーザーはこれらのスクリプトと会話することを受け入れて来ましたが、ボットのあまりの多さとそのつぶやきは、真の日本のツイッター人口を知ることを難しくしています。

また、メディアも少しツイッターに飽き始めているようです。彼らは「次に来る大物」を報じ始めています。つまり、フェイスブックです。

フェイスブック: ツイッターと比べれば、フェイスブックは日本で離陸したとは言えません…いまのところは。

フェイスブックは昨年2月、東京都心に日本事務所を開設し、過去半年で日本の利用者は50%増加しました。しかしながら、この増加率では、日本の三大ソーシャルネットワークの規模に追いつくのが2014年になってしまいます。

日本の運営マネージャーの児玉太郎氏はネットワークの「実名」ポリシーは日本でも継続すると宣言しています。あなた自身をソーシャルネットワークで露出することは多くの利点を伴うというのです。しかし、ミクシィとグリーの両方とも、その初期(2004-2005)には実名を推奨していました。それがいろいろ問題を起こしたので彼らはポリシーを変更し、ニックネームの利用を薦めています。フェイスブックの利用者が違う結果を産み出すならば興味深いことでしょう。

最近の映画「ソーシャルネットワーク」の公開にあわせ、日本のメディアはフェイスブックについて報道をしています。報道は一年前にツイッターで、その数年前にセカンドライフで行われていたものと類似しています。結果として、人々はフェイスブックを試しているところです。しかし、もし映画の活気でも登録者数がそれほど増えなかったとしたら、彼らも日本向けのマーケティングポリシーを再考しないといけなくなるでしょう。

個人的には、フェイスブックにとって日本に進出するもっとも安全な策はローカルなライバルのミクシィを買収することだと考えます。ミクシィの企業価値はグリー・ディーエヌエー(モバゲータウン)との激しい競争によって下落中です。フェイスブックは、もし注意深く実行すれば、そのユーザーを失わずに統合することも可能でしょう。しかし現段階では、彼らは自信を持って彼らのやり方を通そうとしているようです。

モバゲータウンとグリー: 日本のソーシャルネットワーク企業を見ると、日本の巨大ソーシャルネットワークの一つモバゲータウンを運営するディーエヌエーは昨夏、340%の利益増加を達成しています。その競合グリーも74%を増やしました。両社とも、簡単で無料の、しかしユーザーが追加でアイテムを購入できるゲーム群を中心にビジネスを構築しています。ソーシャルネットワークとそこでの広告でビジネスをしているミクシィはついていくのに必死です。

モバゲータウンとグリーは、しかしながら、子供が購入した仮想アイテムの高額な請求を受け取った親からの文句を受け取っています。両者はテレビで大量の広告を流しています。パチンコ企業のように。ソーシャルゲームはギャンブルと似た問題を抱えていると言って何らかの規制を提案する人々も中には存在します。もしそのようなことが起こるなら、両社にとっては大きな問題となるでしょう。

ヤフージャパンとグーグル: 2010年のもう一つの大きなニュースは、ヤフージャパンとグーグルによる検索の提携でした。ヤフージャパンはアメリカのヤフーによる検索エンジンの供給を諦め、グーグルのエンジンに切り替えをしました。それはつまり、日本のパソコン上での95%以上の検索がグーグルの基盤によるということです。グーグルとヤフーはアメリカでも同じ提携を試みましたが、独占禁止の懸念から止められています。日本の公正取引委員会は12月にこの日本での取引を承認しました。

近年、ヤフージャパンは自社サービスを諦めていくつかの分野のリーダー企業との協業に切り替えています。ゲームではモバゲータウンと、ファッションではゾゾタウンと、そして検索ではグーグルと。もしこの戦略が続くのであれば、今年はより多くの、既に成功したプレイヤーとヤフージャパンの提携を見るのではと思います。

楽天の国際化: 国内のインターネット市場における活動的なプレイヤーとしては楽天もいます。昨年の楽天の社内英語公用語化の決断は、その日本人社員とともに業界で働く多くにもショックを与えました。縮小する国内の人口と市場はこの市場での将来の成長を目指す企業にとってあきらかなリスク要因です。経営陣が海外市場に目に向けるのはもっともでしょう。しかし、これまでのところ、日本のウェブ企業による海外進出の成功事例はほとんどありません。日本の自動車や電化製品は海外への進出を成し遂げましたが、そこには製品自身(の良さ)が売り込みとなるという性格もあったでしょう。しかしウェブサービスの企業は言語の問題を避けて通ることはできません。

グルーポン: 海外から日本を襲った最新のトレンドはその名も「フラッシュクーポン」でしょう。アメリカでのグルーポンの成功や、その日本支社の立ち上げを受けて、170社ほどがこの時間制限、前払い、ソーシャルメディア利用のクーポンシステムに殺到しました。

しかし、2011年は、日本の消費者が最も重要と見る分野-食品-でのグルーポンジャパンのトラブルで始まりました。象徴的なことに、その問題を引き起こしたのは(新しい年を祝う)おせち料理でした。

グルーポンに掲載された横浜のレストランバードカフェが、予想を超える需要でおせちの配達や品質を確保できなかったのです。100セットの注文を予期していたのに500セットの注文が届き、注文をキャンセルするのでなく何とかしようとした結果、破滅的な結果を見ました。広告と実際に配達された(明らかにみすぼらしい品質の)商品の比較写真に多くの不平不満を添えたものがオンラインに流れ、日本のメディアで大きく取り上げられました。グルーポン本社CEOアンドリュー・メイソン氏までがユーチューブで謝罪を行っています。この論争が日本企業にフラッシュクーポンのビジネスモデルを使わせることになるかどうかはともかく、700名ほどまで社員を増員したと言われるグルーポンジャパンはこのビジネスを当面継続することになるでしょう。

[The Japan Times記事翻訳]日本の漫画ファンは携帯電話を図書館に変えた。可能性は尽きない

2010年11月17日 The Japan Timesテクノロジー面に執筆した記事”Possibilities are endless as Japan’s manga fans turn cell phones into libraries”の、自身による和訳です


11月4日、セルシスが東証2部に上場した。日本の産業にとっても良い兆候だ。

この会社はセントレックス、スタートアップのためのマーケットにも上場している。セルシスのサイトによれば、彼らは漫画製作のオーサリングツールや電子書籍のサポートビジネスを提供している。

主に携帯電話からアクセスされる日本の電子マンガ市場は巨大だ。調査会社インプレスR&Dによれば、2009年の電子書籍市場サイズは574億円。これは前年の23.7%増しだ。この市場の89%(513億円)は日本の携帯電話向けで、10%がパソコンから、アマゾンのキンドルやアップルのiBookstoreなどの新プラットフォームの割合は1%でしかない。

さらに、この統計にはマンガファンでない読者にとっても興味深い数字が含まれている。日本の携帯電話上で販売されている電子書籍の83%、428億円は電子マンガなのだ。

今月、フォレスター・リサーチは米国での電子書籍市場が今年96.6億ドルになりそうだという予測を公開した。これを円で比較してみると、今年の米国の電子書籍ビジネスは820億円となる。そして、昨年に居本で売られた電子マンガは428億円だ。人口比が2.5対1ということを考えると、いかに多くの日本人が携帯電話で電子マンガを購入し、読んでいるかがわかるというものだ。

では、国中の携帯電話で読まれているマンガはどのようなものか? MMD研究所の2009年の調査では、最も人気のあったマンガのカテゴリーは: アダルト、恋愛、コメディだった。半分以上のユーザーは「いつでも、どこでも読める」ので電子マンガの方が良いと回答した。3分の1以上は、何を読んでいるかを知られないのは利点だと言っている(これはアダルト物の人気が高いことの理由かもしれない)

最大の疑問は、マンガ愛好家達はあんなに小さな携帯電話の画面でマンガを読むことに耐えられるのだろうか、だ。画面サイズは3インチから4インチで、マンガ中の吹き出しを読ませるのは難しい。最近のフィーチャーフォンは480×854など非常に良い画素数を誇るし、写真撮影や動画の閲覧には素晴らしいが、人の目には小さな文字を読むのには辛い。そして、伝統的なマンガは一枚のページに多数のコマを含んでいる。

このようなマンガを(ほんとうに)小さな画面に合わせるためには二つの方法がある。一つ目は、オリジナルをスキャンしたページに方向を指定したスクロール機能をつけるものだ。読者が電話のホームボタンを押すと、視点が読まれるべき順で動いていく。

もう一つの方法は、コミックの各コマを独立したページに加工することだ。小さなコマの場合は二つが一ページに表示されることもあるし、携帯電話のボタンを使って水平や垂直に長いコマはスクロールで読むこともある。

全体として、有力なツールは両方の方式をサポートしている。スクロール方式は作成のコストが低いという利点がある。コマを分けるアプローチは、しかし、ユーザーにとっては使い良いし、あまり多くはないが携帯電話向けに一から描いたマンガならこちらの方式になるだろう。

電話向けの追加機能は、既にビジュアル・サウンド・バイブレーションなどの効果として存在している。コマはフェードで徐々に次のコマに切り替わったりするし、突然色でいっぱいになることもある。キャラクターが歩くときにコツコツと足音を鳴らすことも。重要なシーンでは声優がキャラクターの声を「話す」マンガさえある。ホラーマンガでタイミング良く電話が震えたら、読者は椅子から飛び上がった驚くかもしれない。

電子書籍リーダーが紙の内容を単純にタブレットデバイスに移しているように見える一方で、電子マンガはデータの変換と特殊効果の追加で多くの作業を必要としている。

セルシスの東証への移動は、その成長とさらなる成長への可能性を示している。しかし、産業が本当に儲けようとしているなら、海外への進出は不可避だ。海外の国々でのマンガ人気を見れば、不可能とは言い切れない。いまのところ、いくつかの企業が携帯電話の電子マンガを主にアジアへ、そしてヨーロッパの市場へと持ち込もうとしてきた。国内でのそれのような大きな成功話は「まだ」聞かないが、アジアのいくつかの国は、電子マンガで既に重要な役割を果たしている。アウトソース先としてだ。

スキャンした紙に順路を指定したり、ページのコマをバラバラにして特殊効果をつけたりするのはたいへんな作業だ。(電子マンガの編集ツールを使っての)オーサリング作業は、日本語はわからなくても労働力が安い、中国、インド、モンゴルといった国に移されることもおおい。

コマの順番がわからない者が製作に関わるようなことは問題を生むだろうが、ネイティブによるチェックで解決できる。そしてそれでも、トータルのコストは安上がりだったりするのだ。

日本では毎年1万点以上のマンガが発行され、これに加えて数えきれない程の過去のマンガがある。より多くの読者が携帯電話でマンガをデジタルに読んでいくなら、コンテンツの供給がすぐに途切れることはないだろう。


アッキー秋元はAsiajin.com、日本のウェブ業界を扱う英語ブログ、で書いている。この記事の日本語版は彼のブログakimoto.jpで読める。ツイッターは@akky


[原文]

[The Japan Times記事翻訳] 日本の携帯電話ユーザーは天気について話すだけでなく-投票する

この記事は2010年10月20日 The Japan Timesコラムの翻訳です。月1で日本のWeb事情に関するニュースコラムを寄稿しています。運営している英語ブログAsiajin.comの読者層開拓が目的です。

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日本の携帯電話ユーザーは天気について話すだけでなく-投票する

驚くべき数の日本人は携帯電話で天気情報を購入しています。単に雨が降っているかどうかだけでなく、それについての投票までさせています。

日本の気象庁(JMA)の調査によれば、20%の日本人が携帯電話で天気予報を確認するということです。もちろん、テレビのレポートや新聞のほうがそれより多いですが、それでも20%というのは少なくない数字で、さらにその中には有料サービスを使っている人も含まれています。

ドコモのi-modeのiMenu、KDDI auのEZWeb、ソフトバンクモバイルのヤフー!ケータイなどの携帯電話の公式ポータルでは多くの天気サービスが競争をしています。それらすべてで、利用者は今日や明日の予報といった基本的な情報を無料で得ることができますが、ほとんどのサイトでは有料会員オプションも提供しているのです。

最大のポータルであるiMenuを例に取りましょう。そこでは13個の天気情報サービスが人気順で並んでいます。現在の1位はウェザーニュース(http://wni.jp)、彼ら自身によれば「東証一部に上場した最初の天気サービス企業」です。その携帯サイトの有料会員数は160万人で、これは(無料のサービスである)日本のフェースブックの実効ユーザーをわずかに上回る人数です。

ウェザーニュースの無料コンテンツは、日別や週間予報、注意報、世界各国の予報に動画天気ニュースなどを含みます。それだけでも十分にみえますが、160万人の有料ユーザーはさらに天気や自然災害に関するあらゆる警告通知などを含んだ80種類のコンテンツにもアクセスすることができるのです。

有料会員は105円か315円の会費を毎月支払います。315円のオプションではさらに多くの情報にアクセスできるわけです。計算してみるとわかりますが、160万人が少なくとも105円を支払うということは、この会社は少なくとも毎月1億6800万円を稼いでいるということになります。

ドコモiMenuでの2位、MTIのお天気予報は、9月に有料会員が100万人を突破したことを発表しました。MTIは携帯音楽配信サービスのmusic.jpで知られています。

一人の利用者が複数の携帯天気サービスを購読する必要はないはずと仮定すると、上位2社だけで260万人にサービスを提供していると結論づけることができますが、これは人口の2%にあたります。他にも10社は日本の携帯電話サービスで争っており、100円以上を払っているとすれば、日本における天気ビジネスが一大産業だとわかるでしょう。

日本のユーザーはそれらのサイトが提供する機能に喜んでお金を払っているのかもしれません。多くのサイトで予報だけではなく地震、電車遅延、さらには花火や花見といった情報までをカバーしています。情報はGPSの位置や時間帯による通知などパーソナライズされます。

しかし、日本のユーザーがそれらの情報に喜んで支払いをする理由として、単に無料で入手できる代替手段を知らないという可能性もあるかもしれません。

携帯電話ユーザーはコンテンツに対価を支払うことに慣れており、非公式の無料サービスを検索しない人も多いです。

ウェザーニュースはまた、利用者を市民気象学者とするとても興味深いプログラムを実施しています。20万人ほどのユーザーが「ウェザーレポーター」として登録していて、天気に関係する写真・動画や分析までも携帯電話から送信しています。ウェザーニュースによれば毎日5000通のレポートが寄せられているということです。ヤフー!ジャパンの天気サービスは利用者生成コンテンツという考え方を携帯とパソコンからの投票機能にまで展開しています。利用者がヤフー!天気で地域を指定したとき、そこにはあなたが今見ている天気を報告するための投票パネルが表示されます。多いときには数千人の訪問者が同じ場所での雨・曇り・晴れを報告しているのが見られます。そこでは、今雨が降っているかどうかは気圧配置ではなくみんなの判定によって決定されます。日本では、予報すら民主的な方法で決定されるということでしょうか。

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アッキー秋元はAsiajin.comで執筆しています。この記事の日本語版は彼のブログakimoto.jpで読めます。彼のツイッターは@akky
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[The Japan Times記事翻訳] 日本ではソーシャルネットワークの戦いが加熱、フェースブックはサイドラインに

この記事は2010年9月15日 The Japan Timesコラムの翻訳です。月1回ぐらいの予定で、日本のWeb事情に関するニュースコラムを寄稿することになりました。主に運営している英語ブログAsiajin.comの読者層開拓が目的です。

The Japan Timesは100年以上の歴史を持つ日本で一番古い英字新聞です。日本のいろいろなニュースが英語で書かれているという意味では、Asiajinの大先輩にあたるメディアです。

主に日本在住の英語話者に読まれている新聞ということで、英語ではまだそれほど紹介されていなかったり、まとまっていなかったりする情報を紹介していこうと思います。


この7月、ソーシャルネットワーキングサイト「フェースブック」の全世界での実効ユーザーが5億人を越えた。米国のインターネット利用者の60%以上がサイトに登録し、その存在は地上のほとんどの国に及んでいる。フェースブックは世界を征服せんとしている、とあなたは思うかもしれない…あなたが英語を話すなら。

しかしながら、フェースブックが西側でそうしたようには市場に食い込めていない地域がある。中国、ロシア、韓国はそれぞれ人気のある自前のサービスを持っている。日本もまた、独自のソーシャルネットワーキングサイトを持ち、その上位3つ: グリー、ミクシィ、モバゲータウン、はフェースブックに目が無いかもしれないというぐらいの激しい競争の最中である。

ミクシィとグリーは共に、2004年の2月に始まった。日本人のなかのテクノロジー好きたちがOrkutを発見していた頃だ。ミクシィ、グリーとも、西側を席巻していた人気のソーシャルネットワークサービスの日本版となることを目指していた。

ミクシィはFriendsterに対する日本の返答だったと考えていい。ウェブのスタートアップ企業イーマーキュリーが一人の技術者を求職サイトファインドジョブからミクシィの開発に回した。誰もが驚いたように、サイトは急速に成長し、今では2,100万人のネットワークを誇っている。フェースブックと同様に、ミクシィは広告販売で利益を上げている – その主要な競争相手たちとは違って。

ミクシィは革新を続けている。先週、この会社は二つの新機能をアナウンスした: ミクシィチェックとミクシィチェックインだ。ミクシィチェックはフェースブックのシェア機能に似ている。チェックインの方はユーザーの物理的な位置にサイト上で情報を紐付けるフォースクエアに似ている。

5年間というもの、ミクシィはソーシャルネットワークの頂点の地位を楽しんできた。しかし先月、グリーは2125万人のユーザーを得たと発表した。これはグリーを日本のNo.1ソーシャルネットワークとするものである。

グリーの成功は日本市場の独特な状況を示している。上位3位の中でミクシィのみが、その名声をパソコン上で獲得した。しかし2007年7月に、携帯電話からのページビューがパソコンからのそれを上回っている、これはソーシャルネットワークの覇権がその戦場を移したということだ。グリーのモバイルプラットフォームでの成功はミクシィ逆転の理由の一つと見られる。初期の2004年にミクシィに対して敗北した後、多くはグリーが消え去ったと考えていた。そのカムバックが始まったのは2006年後半、サイトが人気のなかったパソコン版(まだ存在しているが、そのトラフィックはケータイ版の1%にすぎない)をほぼ放棄してからのことだ。グリーは日本2位の携帯電話会社KDDI auと組み、日本人が呼ぶところのカジュアルゲーム(casual game)、携帯電話向けのシンプルなゲーム群とアバターを持つモバイル版サイトを作った。

グリーCEOの田中良和氏は、グリーのケータイでの再生にあたって韓国のオンラインゲームポータル、ハンゲームを参考にしたと言っている。新生グリーは、釣りや仮想ペットといったゲームで新しいユーザーを獲得した。それらのすべては無料で遊ぶことができる(ただし、ゲーム上の自由度を広げるためのコンテンツを買うこともできる)。ゲーム戦略(とテレビの広告キャンペーン)はウェブユーザーと共振を起こし、グリーをトップに押し上げた。最近、サイトは外部提供のソーシャルゲームを加えることでカジュアルゲームの長い品揃えをさらに伸ばしている。

3位のソーシャルネットワーキングサイト・モバゲータウンもゲーム戦略を取っている。サイトを運営するディーエヌエーはまた、成功したオークションサイトビッダーズを運営し、サイトを2006年に立ち上げた。ディーエヌエーもまた、モバゲータウンの手本にハンゲームを見ている。遅い開設にも関わらず、モバゲータウンはそのユーザー数を2048万人に増やしてきた。成功の要因の一つとして、ユーザーが広告主のサイトを訪問することで仮想通貨を入手できるという仕組みがある。このソーシャルネットワーキングサービスは彼ら自身のカジュアルゲームと同時に外部企業のゲームも提供している。現時点で最も人気の高いゲーム「怪盗ロワイヤル」はフェースブックで人気の「マフィアウォーズ」と似ている。

「マフィアウォーズ」内のキャラクターに似て、日本のソーシャルネットワークサイトの競争はたいへん激しい。ディーエヌエーは日本最大のウェブサイト、ヤフー!ジャパンと共同でヤフー!モバゲーを開設し、ヤフー!ジャパンのユーザーにモバゲータウンのゲームを提供しようとしている。モバゲータウンとグリーはどちらも、トヨタやコカコーラをしのぐほど多量の資金をテレビ広告に注ぎ込んでいる。二つのサイトの運営企業はまた、職種によっては採用に200万円のボーナスを与えるという競争にも巻き込まれている。

これらの現金はどこから来るのか? ミクシィの主要な収入が広告である一方、グリーとモバゲータウンは仮想アイテムを直接ユーザーに販売している。そこでアイテムが売られる仕組みは、アップルのアップストアのそれとは異なる。iPhone上で何かを買うとき、顧客は別の勘定書を受け取る、つまりクレジットカードの請求上で買ったものを見るのだ。グリーやモバゲータウンの場合、多くの購入結果は利用者の電話の請求書に含められる – 本質的に、より気づきにくくなる。この手法は文字通りうまくいき(訳注: 翻訳すると文字通りでもないけど)、両社は広告料金を下げることでミクシィに圧力を掛けることができている。

しかし、先週のミクシィカンファレンスに登場したディーエヌエー社員は、モバゲータウンとミクシーのサービスは競合せず、何らかの協力が可能だと述べた。ディーエヌエーの南場智子社長はまた、ソニーや任天堂を「古顔だ」と言い、それらの企業のレベルを目指している。ディーエヌエーは、「仲間になるか、さもなくば敵だ」という手法も取っているようで、ビデオゲーム開発者達に「モバゲータウンで売りたければグリーで売るべきではない」と言ったとも報じられている。これが事実かは確認はされていないが。

カンファレンスにおいて、ミクシィはまた、中国の人人網、韓国のサイワールドとの提携を発表した。まず、三社は外部企業がアプリケーションの提供者(ミクシィが呼ぶところのSAP)となれるようにするプラットフォームの標準化を行い、三つのソーシャルネットワーキングサイトでそれらが動くようにする。この戦略は主にフェースブック対策である。この提携が彼らのサービスの合併や相互のネットワークの接続といった大きな変化に続くとは思いがたい。しかしこの手のことは国内のユーザーにはアピールするだろう。フェースブックの世界的浸透度は驚くべきものだが、(特にアジアでの)現地化は相対的に劣っている。もしアジアのソーシャルネットワーキングサイトが踏み込んで国際的にネットワークできるという印象を与えることができれば、ユーザーの興味を引くには十分だ。しかしながら、日本市場での飽和を見つつ、ミクシィ、ディーエヌエー、グリー各社は拡大を目指している。実際、ディーエヌエーとグリーはその利益を海外での成長に使うことができる。フェースブックが西側でおそらく独占を維持できるであろう同時期に、日本のソーシャルネットワーク達がオンラインの巨人に挑戦する最上の手段としてアジアに目を向けるという可能性はある。


自分の書いた英文(編集者・校正者にたいへん助けられていますが)を日本語に訳すのは思ったより難しいですね。